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「はぁ……。何が正解なんやろ……。分からへん……。」
三津はしゃがみ込んだまま膝に顔を埋めた。
「嫁ちゃん……。そんな辛い関係ならもう捨てちまえ。嫁ちゃんが幸せやないなら無意味や。」
「小五郎さんとは離縁出来ない……。」 香港顯赫醫學植髮中心 NU/HART - 保證有效、安全、永久、自然、美觀
「離れて暮らしたらいい。高杉の嫁みたいに遠くで一切我関せずで暮らすそ。その方がよっぽどいい。相手がどこで何してようが気にせず,目の前の生活だけ楽しむそ。嫁ちゃんにはきっとそれが合っとる。」
「私もそう思う……。」
「やろ?木戸さん帰って来たら話そ?俺も手助けする。萩に戻るなり新天地見つけるなりすればいい。もう離れり?そう言う道だってある。」
山縣に諭されて三津は頷いた。そうだ,私が不快に思うなら考え直すと言ってくれていた。ならばそうしてもらった方がいい。
「木戸さん帰るまで白石さんとこ行く?もう仕事とか考えんな。嫁ちゃんの心が整わんと俺も心配で仕方ない……。」
こうして三津を宥める役は赤禰が担っていただろうがそこに穴が空いてしまった。山縣は山縣でその穴を埋めようと必死だった。きっと赤禰が空で心配してると思う。
「いえ……そこは自分で折り合いつけます。じゃないと一人になった時生きて行かれへん。」
みんなの優しさは嬉しくて感謝してもしきれないが,その甘やかしが自分の首を絞める事になるのも三津は分かっている。
「三津さんごめん,俺また余計な事言った……。」
そこへ高杉が謝りにやって来た。遠慮がちに台所を覗いて三津達の様子を窺っていた。
「すみません私の方こそ取り乱して……。もう平気です戻りますから。高杉さんちゃんと食べた?」
三津は立ち上がってにこっと笑みを投げかけた。それに山縣が寄り添った。
「うん食った!やけぇ謝りに来た。そうよな,大っぴらに言う事やなかったな。すまん。」
「私も上手く交わす余裕が無かったんですみません。後は湯浴みしてゆっくりして下さい。随分搾り取られたんでしょ?」
「それよ。まぁ寝て起きたらすぐ復活やけどな!」
高杉はけらけら笑いながら中に踏み込み三津に近付いた。
「なぁ……九一と何かあった?あいつ今日一日離れたんやろ?」
気を遣って小声で問いかけた。三津は山縣と顔を見合わせた後に苦笑しつつ,実は……と全てを白状した。
それを聞いた高杉はちょっと間目をぱちくりさせて三津を見つめた。
「何や……やる事やっとったんか……。それで?九一が知らん間に居なくなっとって女将の店におったと。」
高杉は事情を聞いて,なるほどなと顎をさすった。「あいつ宮城さんとこ行っちょったって言ったな?」
「そうです。私にもそう言いました。それでお土産ってくれたのがそこにある物で……。」
三津は台の上に置かれた包みに目をやった。女将の店の物ではないのと目を伏せた。
「そうか。九一が今日離れとった件は後で話すってさっき言ったけぇ聞いとく。それでこっちの話と擦り合わす。」
「でもそうした所で私には九一さんを縛り付ける権限も何もありません。
それに……この関係に疲れちゃいました。もっと他の在り方を……主人が帰って来たら考えてもらおうと思ってます。だからもう気にせんとってください。上手く自分で気持ちの整理つけますから。
じゃあ戻りましょうか。お膳の片付けもありますからね!」
三津は行きましょうと二人の背中を押して一緒に広間に戻った。
「嫁ちゃん,そんなすぐ気持ちは落ち着かんやろうから俺の後ろに隠れとき。」
山縣の気遣いに三津は笑顔で頷いた。今日でだいぶ好感度が上がった。
広間に戻った高杉はすぐに入江の横を陣取り,風呂でゆっくり話そうかと肩に手を回して捕まえた。
そしてさぁさぁ背中を流し合おうと早々に風呂場に連行した。
「んで?何で三津さん放ったらかした?」
「……三津の顔が直視出来んくて,気持ち落ち着けるには一人が良くて。」
「何で直視出来んくなった。」
その理由はさっき三津から聞いた事で何となく察しはついていた。
三津はふふっと笑ったがその顔が哀愁漂う表情で誰もが言葉に詰まった。
「三津さんはやっぱり商人の妻が似合っとる。」
伊藤は白石に縁談相手を探してもらうのを諦めていない。
「それなら私が奇兵隊での役目終えてから萩で人生やり直すけぇ私の妻になればいいそ。二人で仕事して暮らすそ。」 香港顯赫醫學植髮中心 NU/HART - 保證有效、安全、永久、自然、美觀
入江もそれはまだ諦めてないしフサもそれに賛成だと目を輝かせて三津を見る。
「そう言う事やけぇ三津さんいつでも木戸様捨てて萩に来たらええんやからね。先に萩に来といて入江さん帰って来るの待っとけばいいそ。」
文はいつでも逃げて来いと三津に逃げ道を作った。自分に出来るのはせいぜいここまで。あとは三津次第だ。
「ありがとうございます。私も住むなら萩がいいです。」
京ではある意味名が知られ過ぎた。だから誰も自分を知らない場所で一から生活するのが楽しそうで想像するだけでワクワクした。
「でも木戸さん最近の口癖隠居したいになったな。」
寝言でも言うぐらいもう仕事がしたくないんだなと赤禰は笑った。
「木戸様は責任が重いけぇ仕方ない。でも結局政馬鹿やけ頼まれたら断れんのよ。それに長州だけやなくてこの国の先を考えたら動かずにはおれんはずよ。兄見とるんやけ分かるやろ?」
文の問いかけに誰もが大きく頷いた。それを見て三津は吉田松陰と言う男がどんな人間だったのか俄然興味が湧いた。
会う事は叶わずとも文を見ていれば何となく分かるような気もした。そんな事を考えて文を見ていたら文と視線がぶつかった。
「三津さん,そんな政馬鹿の為に泣き寝入りせんでもええんやからね。」
「分かりました。でも極力支えてあげたいです。背中に背負ってるものが少しでも軽く感じられるようにしてあげたいんです。
それ以前に子供っぽい所直さんと呆れて捨てられてまうかも。」
三津は真剣に別れを告げられるのを想定していたがみんなは笑ってそれはないと口を揃えて言った。
三津もそれならいいなと笑った。
その晩は桂は訪ねて来なかった。だが三津はこれと言って不安になる事はなかった。
それはきっとみんなと居て気が紛れるから“何かあったかも”なんて悪い方へ考える思考が働いてないからかもしれない。
「明日の朝には顔出すんやない?」
入江も優しくそう言ってくれるから不思議と落ち着いてそうですねと納得できた。
入江の言う通り桂は朝一で阿弥陀寺に顔を出した。だが顔を合わせてすぐに三津は異変に気付いた。三津だけじゃない。文やフサ達もそれには気付いた。
「台所に居ます。」
わざわざ同じ空間で嫌な思いをする必要はない。三津は文に耳打ちして早々に広間から出た。
「木戸様,昨夜は会合ですか?それともただの酒の席ですか?御髪に香の香りが染み付いたままですよ。」
文の冷ややかな声に桂はビクッと肩を揺らした。
「そんな酒の席開く資金あるならこの人らに武器の一つや二つ買ってやってくださいよ。」
桂はすまんと小声で謝り挙動不審に辺りをきょろきょろ見渡した。
「三津は……。」
「その香りに嫌な顔されるぐらいなら会わん方がいいでしょ?食べたらさっさと行ってくださいね。」
文の冷たい態度に高杉がちょっと待ったと声を上げた。
「付き合いでのこれは仕方ないやろ。この匂いくらい許せんと妻なんか務まらんぞ。」
「私はこの人の妻やないけぇ別にええやん。やけぇ三津さんは喧嘩になるくらいなら顔合わさん方がええってここにおらんやろ?賢いやん。」
あっけらかんと言われ高杉はそれはそうやが……と口篭った。
「文ちゃん三津に伝えといてくれ。今夜会いに来ると。」
「承知しました。」
桂は朝餉をかき込んでそそくさと広間を出た。つくづく駄目な男だと肩を落として阿弥陀寺を出ようとした時,
「木戸さん待って!」
その声に足を止めて勢い良く振り返った。三津が自分を走って追いかけて来てくれている。それだけで目頭が熱くなる。これも歳だろうか。
良かった間に合ったと微笑む顔を目を潤ませて見下ろした。
悩みの種で思い出す。高杉が帰るまでの三日間は三津にとって不安でしかない。
「明日からの三日間……私追い回されますかね……。」
話し合うと決意したから逃げずに向き合うつもりでいるが,多分話は噛み合わず平行線を辿るだろう。
「もう明日から藩邸来るのやめたら?」
「多分そうすれば家に来ますよ。」 香港顯赫醫學植髮中心 NU/HART - 保證有效、安全、永久、自然、美觀
だから叫べば誰かしらが助けに来てくれる藩邸の方が安全だと思う。
「私の三津なのに。どいつもこいつも。」
不満を口にして酒を流し込んだ。
桂は不機嫌な顔をしていたが,“私の”と言われた三津は目尻が下がる。
「そうですね。小五郎さんの私です。高杉さんはどうすれば分かってくれるんでしょうね?」
「晋作だけじゃないよ。稔麿もだし……気になるのは九一だ。」
入江の名が出た瞬間,三津の笑顔が固まった。心臓も一瞬止まってたかもしれない。
「入江さん?何でですか?」
動揺を隠す為お酒を注ぐことで目線を下に向けた。
「何を考えてるか分からない。」
「あー……確かに一番掴み所ないかもしれませんね。」
徳利を持つ手は汗でぐっしょり。滑って落とさないかヒヤヒヤした。
入江が何を考えてるか分からないのは身をもってよく分かった。が,そんな事言えない。
「三津に対しての心境の変化を何となく感じるが稔麿や晋作のような感じではないんだ。かと言って玄瑞のような物でもない。」
『小五郎さん鋭い……。』
その洞察力には恐れ入る。
だがその心境の変化が“都合のいい男になりたい”だとか言うふざけた物を理解出来る人はいないと思う。
「三津は九一をどう思う?」
「え?どう……とは?」
これは試されてるのだろうか?もう既に何かに気付いているのか?
どう答えれば正解なのか。背中に冷や汗をだらだら流して必死に絞り出した結果,
「私は小五郎さんにどう思われてるかしか頭にないですっ!」
勢いの良い返答にぽかんとした桂だったがすぐに笑みを深めて酒を一気に呑み干した。
「それは他を考える隙もない程私の事で頭がいっぱいって事だよね?」
妖しく笑って三津を見れば,自分の発言の意味を理解して顔を真っ赤にしている。口を横一文字に結んで硬直していた。
「ねぇそんなに顔赤くしてるって事は私を煽ってどうなるか分かってるんだね?」何度も経験してこの後の流れは分かっているけど慣れない。
それに昼間も覚悟しとけと脅された。
動けなくなってしまった三津に桂は申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「そんなに怯えないで。昼間は悪かったよ。どうしても嫉妬に勝てなかったんだ。三津を怖がらせるつもりなんてなかった。
ただ私だけを見てて欲しかったんだよ。」
もう一杯くれないか?とお猪口を差し出せば,三津は無言で頷いて酒を注いだ。
「なかなか慣れてくれない所も可愛くて好きだよ。」
それを見れば他の男と何もしてないのが分かっていい。
「少し呑まない?」
注いでもらった酒に少しだけ口をつけて残りを差し出した。
目を伏せたまま遠慮がちにいただきますと三津はお猪口を受け取った。
「そうだなぁ……。晋作は馬鹿じゃないし情に厚い。三津が私ではないといけない理由を並べてみるのはどうだろうか。」
急に話を真面目なものに戻されて三津は反応に困りながらも酒を流し込んでそれに答えようとした。
「小五郎さんやないとアカン理由……。」
「えっもしかして無いの?」
三津はとんでもないと激しく首を横に振った。
「小五郎さんやないと駄目ですよ……。でもその理由を言葉にして伝えるのは難しいんです。
どれだけ言葉並べても足りないんです。あの……好き過ぎて言葉じゃ伝えきれなくて……。
もう!恥ずかしいっ!」
改めて言わせないでと自らお酒を注いでぐいっと飲み干した。
「そんなん何で?って聞かれても好きなもんは好きやし私には小五郎さんしかおらんのやもん……。」
のようであるから、不逞浪士に絡まれやすいと言えるだろう。
「……新撰組、も。人を斬る……のでしょう?」
「……どのような事を聞いているのかは分かりませんが。私達は少しでも民が暮らしやすいように、不逞の輩から治安を守っています。恥ずべきことは何一つしていませんよ」
少し寂しげに紡がれた言葉に、顯赫植髮 桜花はハッとした。自分の目で見た訳でも無いのに、偏見を持つのはおかしいと。
自身もそうした偏見の目に晒されて、嫌な思いをしてきたではないか。
「……あの、ごめんなさい。私、沖田先生達のことを良く知らないのに」
そのように言えば、沖田は驚いた表情の後に柔らかな笑みを浮かべる。
「いえ、気にしていませんよ。少しずつ知っていって下されば。それに、やたらと斬る訳ではありません。基本は生け捕りです」
そう言われてみると、自身も生け捕りにされたなと眉を顰めた。思えば、新撰組のことは殆ど知らないことに気付く。
この優しそうな青年であれば答えてくれるだろうか、と瞳を伏せると、やがて決心したように桜花は口を開いた。「その、沖田先生」
おずおずと呼びかければ、何でしょうと返答がある。
「し、質問しても良いですか」
「ええ。ただし、一つだけ」
沖田は実のところ、桜花の護衛ではなく見張りとして来ていた。土方が未だに間者だと睨んでいるからである。
本当は新撰組に関する情報の一つも入れるのは良くないと分かりつつ、先日勝手に鬼ごっこへ巻き込んだ借りがあるため、一つだけなら答えようと思ったのだ。
「ひとつ……」
一つと言われると、何を尋ねて良いか分からなくなる。本当は聞きたいことが沢山あった。明らかに言葉遣いから地元の人間ではないことは分かる。土方は江戸の出だと言っていた。それなのに何故ここにいるのか、この広い京全体を守っているのか……。
沖田から視線を受け、焦った桜花は唇を何度か動かした。
「えっと、しっ新撰組って……何なんでしょう」
随分と抽象的な質問をしたという自覚はある。だからか、沖田はまるで鳩が豆鉄砲を食らったように目を丸くしていた。
「街の治安を守っているというのは聞きました。ですが、言葉も京のものではないですし、その、……ごめんなさい。やはり忘れて下さい」
馬鹿な質問をしたと、耳を赤くすると桜花は顔を伏せる。すると、くすくすと笑う声が隣から聞こえてきた。
「そうですね、貴方は記憶が無いんですよね。ええと……、うん、それなら良いかな」
特に隊の機密には何ら触れないものだと判断した沖田は、人差し指を立てて話し始める。
「新撰組の幹部はね、元は全員江戸から来たのですよ。と言っても、松原さんや武田さんなんかは違います」
局長、副長の両名、沖田、永倉、井上、斎藤、藤堂、原田。桜花もまだ会ったことのない者も含めて計九名が上洛してきたのだという。
「わざわざ江戸……から京まで。すごく遠くないですか」
無論、この時代には車はおろか汽車の類いすら無い。馬や駕籠はあるが、大人数で使う訳にもそのような金もある訳がなく、旅をするには自前の足で歩かなければならなかった。
「ええ、それはそれは遠かったです。それでも私達には夢があったから。そのようなものは苦にもなりませんでしたね」
「夢……」
「そうです。武士になり、この剣で身を立てて御公儀のお役に立つという夢」
目を細めてそのように語る沖田は何処か眩しく見える。見上げた向こう側にある青空のように澄んだ瞳をしていた。
「という事は、皆さんは元は武士では無かったということですか?」
そのように問えば、沖田は首を横に振る。
「私もですが、永倉さんや斎藤君、山南さん、原田さんなんかは元から士分です。ここら辺は複雑なのですよね。士分といえども、名ばかりのものから将軍様へお仕えするものまで有りますから」
あまりピンと来なかったが、武士にも色々な階級があるのだろう、と桜花は解釈した。
「境遇がそれぞれ異なる者が集ったのが、近藤先生が開いていた