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のようであるから、不逞浪士に絡まれやすいと言えるだろう。
「……新撰組、も。人を斬る……のでしょう?」
「……どのような事を聞いているのかは分かりませんが。私達は少しでも民が暮らしやすいように、不逞の輩から治安を守っています。恥ずべきことは何一つしていませんよ」
少し寂しげに紡がれた言葉に、顯赫植髮 桜花はハッとした。自分の目で見た訳でも無いのに、偏見を持つのはおかしいと。
自身もそうした偏見の目に晒されて、嫌な思いをしてきたではないか。
「……あの、ごめんなさい。私、沖田先生達のことを良く知らないのに」
そのように言えば、沖田は驚いた表情の後に柔らかな笑みを浮かべる。
「いえ、気にしていませんよ。少しずつ知っていって下されば。それに、やたらと斬る訳ではありません。基本は生け捕りです」
そう言われてみると、自身も生け捕りにされたなと眉を顰めた。思えば、新撰組のことは殆ど知らないことに気付く。
この優しそうな青年であれば答えてくれるだろうか、と瞳を伏せると、やがて決心したように桜花は口を開いた。「その、沖田先生」
おずおずと呼びかければ、何でしょうと返答がある。
「し、質問しても良いですか」
「ええ。ただし、一つだけ」
沖田は実のところ、桜花の護衛ではなく見張りとして来ていた。土方が未だに間者だと睨んでいるからである。
本当は新撰組に関する情報の一つも入れるのは良くないと分かりつつ、先日勝手に鬼ごっこへ巻き込んだ借りがあるため、一つだけなら答えようと思ったのだ。
「ひとつ……」
一つと言われると、何を尋ねて良いか分からなくなる。本当は聞きたいことが沢山あった。明らかに言葉遣いから地元の人間ではないことは分かる。土方は江戸の出だと言っていた。それなのに何故ここにいるのか、この広い京全体を守っているのか……。
沖田から視線を受け、焦った桜花は唇を何度か動かした。
「えっと、しっ新撰組って……何なんでしょう」
随分と抽象的な質問をしたという自覚はある。だからか、沖田はまるで鳩が豆鉄砲を食らったように目を丸くしていた。
「街の治安を守っているというのは聞きました。ですが、言葉も京のものではないですし、その、……ごめんなさい。やはり忘れて下さい」
馬鹿な質問をしたと、耳を赤くすると桜花は顔を伏せる。すると、くすくすと笑う声が隣から聞こえてきた。
「そうですね、貴方は記憶が無いんですよね。ええと……、うん、それなら良いかな」
特に隊の機密には何ら触れないものだと判断した沖田は、人差し指を立てて話し始める。
「新撰組の幹部はね、元は全員江戸から来たのですよ。と言っても、松原さんや武田さんなんかは違います」
局長、副長の両名、沖田、永倉、井上、斎藤、藤堂、原田。桜花もまだ会ったことのない者も含めて計九名が上洛してきたのだという。
「わざわざ江戸……から京まで。すごく遠くないですか」
無論、この時代には車はおろか汽車の類いすら無い。馬や駕籠はあるが、大人数で使う訳にもそのような金もある訳がなく、旅をするには自前の足で歩かなければならなかった。
「ええ、それはそれは遠かったです。それでも私達には夢があったから。そのようなものは苦にもなりませんでしたね」
「夢……」
「そうです。武士になり、この剣で身を立てて御公儀のお役に立つという夢」
目を細めてそのように語る沖田は何処か眩しく見える。見上げた向こう側にある青空のように澄んだ瞳をしていた。
「という事は、皆さんは元は武士では無かったということですか?」
そのように問えば、沖田は首を横に振る。
「私もですが、永倉さんや斎藤君、山南さん、原田さんなんかは元から士分です。ここら辺は複雑なのですよね。士分といえども、名ばかりのものから将軍様へお仕えするものまで有りますから」
あまりピンと来なかったが、武士にも色々な階級があるのだろう、と桜花は解釈した。
「境遇がそれぞれ異なる者が集ったのが、近藤先生が開いていた