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濃姫は静かな面持ちで、こくりと頷く。
「左様に致したいと思うておりまする。どうか、お受け入れ下さいませ」
「馬鹿なッ。…そもそも信長殿は、この話を知っているのですか!?」
「いいえ。このことは、私の一存にてり行いたいと思うておりまする」
「左様なことをすれば、胡蝶に危険が及ぶやも知れないのですよ!? それを分かって言っておるのか!?」
報春院はし立てるような語気で言うが、濃姫の決意は揺るがない。
「分かっておりまする。 ──例え此度の上洛で何事もなかったとしても、私は、
上様が世界へ発たれるのを機に、この案を実現させたいと思うておりまする」
「悪夢への念が消えても、必ず実行すると申すのか!?」
「はい」
「……危険じゃ、いくら何でも危険過ぎる」
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「第一、そのような真似をしたら、そなたは、その後どうするのです!?」
濃姫に不安の眼差しを向けた。
「愛する我が子の為ならば、私の身など、どうなっても構いませぬ」
「お濃殿ッ」
「もう決めたことなのでございます」
濃姫の黒い瞳の奥で、めらりと青いが揺れた。
崩しようのない子の母として覚悟が、そこに宿っているようだった。
やおら濃姫は、着物の袖に手を入れると、中から一通の書状を取り出した。
それを、すっと姑の膝元へと差し置く。
「これに、を書き記してございます。…もしも、もしも私の身に何かあった時は、これを胡蝶に渡して下さいませ」
「──」
「いざという時に、この安土で胡蝶を守って下さるのは義母上様だけにございます。どうか胡蝶のこと、よろしくお願い致しまする」
万感の思いを込めて、濃姫は深々と姑に頭を下げた。
報春院は、目前の嫁の黒頭と、膝元に置かれた書状を交互に見やりながら、やがて浅い溜め息をいた。
「……お濃殿」
「はい」
「そなたのような愚か者を、わらわは見たことがない」
「私も、私のような愚か者は見たことがございませぬ」
「まことに、その大それた考えを改める気はないのか?」
「ございませぬ」
「強情よのう…」
微かに笑みを浮かべる報春院に
「私はの娘。食い下がるのは得意にございます故」
と、濃姫も微笑んで言った。
決して口に出して言うことはないが、報春院は濃姫の、こののない微笑みが好きだった。
もっと言えば、濃姫自身のことも愛しく思い始めていた。
美濃から輿入れて来たばかりの頃は、信長の強情な娘としか思っていなかったが、
あれから随分とを重ねたせいだろうか? 時折 反発するものの、内心ではこの嫁のことが可愛かった。
彼女がいなければ胡蝶は産まれなかったし、信長も、濃姫のなしでは、ここまで出世しなかっただろう。
信長が多くの側室を抱えながらも、女たちが醜い小競り合いをすることもなく、
常に奥御殿の平穏が保たれていたのも、正室である濃姫の力に他ならない。
そんな嫁の願いを、出来ることなら叶えてやりたいというのが、この時の報春院の本音であった。
「──お濃殿」
「──はい」
「胡蝶のく末への懸念はまだ分かるとしても、何の確証もない夢の話を呑みにするほど、わらわは愚か者ではない」
「……」
「じゃから、必ず、ここへ戻って参れ」
濃姫は膝元に落としかけていた視線を、素早く持ち上げた。
「茶会が終わったら、またすぐに安土へ戻り、またその健勝そうなお顔をみせておくれ」
「…義母上様…」
「それが、そなたの我がを受け入れる条件じゃ」
穏やかな口調、そして穏やかな微笑みで、報春院は濃姫に告げた。
初めて姑と、心がかよい合ったのを感じて、濃姫の胸は喜びに震えた。
じわりと込み上げてきたものを目のに溜めながら、濃姫は報春院に向かって静かに首肯する。