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三津はふふっと笑ったがその顔が哀愁漂う表情で誰もが言葉に詰まった。
「三津さんはやっぱり商人の妻が似合っとる。」
伊藤は白石に縁談相手を探してもらうのを諦めていない。
「それなら私が奇兵隊での役目終えてから萩で人生やり直すけぇ私の妻になればいいそ。二人で仕事して暮らすそ。」 香港顯赫醫學植髮中心 NU/HART - 保證有效、安全、永久、自然、美觀
入江もそれはまだ諦めてないしフサもそれに賛成だと目を輝かせて三津を見る。
「そう言う事やけぇ三津さんいつでも木戸様捨てて萩に来たらええんやからね。先に萩に来といて入江さん帰って来るの待っとけばいいそ。」
文はいつでも逃げて来いと三津に逃げ道を作った。自分に出来るのはせいぜいここまで。あとは三津次第だ。
「ありがとうございます。私も住むなら萩がいいです。」
京ではある意味名が知られ過ぎた。だから誰も自分を知らない場所で一から生活するのが楽しそうで想像するだけでワクワクした。
「でも木戸さん最近の口癖隠居したいになったな。」
寝言でも言うぐらいもう仕事がしたくないんだなと赤禰は笑った。
「木戸様は責任が重いけぇ仕方ない。でも結局政馬鹿やけ頼まれたら断れんのよ。それに長州だけやなくてこの国の先を考えたら動かずにはおれんはずよ。兄見とるんやけ分かるやろ?」
文の問いかけに誰もが大きく頷いた。それを見て三津は吉田松陰と言う男がどんな人間だったのか俄然興味が湧いた。
会う事は叶わずとも文を見ていれば何となく分かるような気もした。そんな事を考えて文を見ていたら文と視線がぶつかった。
「三津さん,そんな政馬鹿の為に泣き寝入りせんでもええんやからね。」
「分かりました。でも極力支えてあげたいです。背中に背負ってるものが少しでも軽く感じられるようにしてあげたいんです。
それ以前に子供っぽい所直さんと呆れて捨てられてまうかも。」
三津は真剣に別れを告げられるのを想定していたがみんなは笑ってそれはないと口を揃えて言った。
三津もそれならいいなと笑った。
その晩は桂は訪ねて来なかった。だが三津はこれと言って不安になる事はなかった。
それはきっとみんなと居て気が紛れるから“何かあったかも”なんて悪い方へ考える思考が働いてないからかもしれない。
「明日の朝には顔出すんやない?」
入江も優しくそう言ってくれるから不思議と落ち着いてそうですねと納得できた。
入江の言う通り桂は朝一で阿弥陀寺に顔を出した。だが顔を合わせてすぐに三津は異変に気付いた。三津だけじゃない。文やフサ達もそれには気付いた。
「台所に居ます。」
わざわざ同じ空間で嫌な思いをする必要はない。三津は文に耳打ちして早々に広間から出た。
「木戸様,昨夜は会合ですか?それともただの酒の席ですか?御髪に香の香りが染み付いたままですよ。」
文の冷ややかな声に桂はビクッと肩を揺らした。
「そんな酒の席開く資金あるならこの人らに武器の一つや二つ買ってやってくださいよ。」
桂はすまんと小声で謝り挙動不審に辺りをきょろきょろ見渡した。
「三津は……。」
「その香りに嫌な顔されるぐらいなら会わん方がいいでしょ?食べたらさっさと行ってくださいね。」
文の冷たい態度に高杉がちょっと待ったと声を上げた。
「付き合いでのこれは仕方ないやろ。この匂いくらい許せんと妻なんか務まらんぞ。」
「私はこの人の妻やないけぇ別にええやん。やけぇ三津さんは喧嘩になるくらいなら顔合わさん方がええってここにおらんやろ?賢いやん。」
あっけらかんと言われ高杉はそれはそうやが……と口篭った。
「文ちゃん三津に伝えといてくれ。今夜会いに来ると。」
「承知しました。」
桂は朝餉をかき込んでそそくさと広間を出た。つくづく駄目な男だと肩を落として阿弥陀寺を出ようとした時,
「木戸さん待って!」
その声に足を止めて勢い良く振り返った。三津が自分を走って追いかけて来てくれている。それだけで目頭が熱くなる。これも歳だろうか。
良かった間に合ったと微笑む顔を目を潤ませて見下ろした。