[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「いやぁ…。あの総ちゃんがねぇ」
考え込んだかと思うと今度は吹き出した。
忙しい人だ。
「失礼な人ですね」
沖田は眉を寄せた。
「だって~!」
ふと美海との会話を思い出した。もしかしたら似ているかもしれない。
「あ…あの…」
ここで美海がやっと口を開いた。
「あ!ごめんなさいね!はじめまして。鈴です。あなたは立花さんよね?知ってるわよ。有名だもの~」
お鈴はそう言いながらワシワシと美海の頭を触っている。
本当に茶色なのね~なんて言いながら美海の頭を触り続けるお鈴はやはり怖いもの知らずだ。
「あ。はぁ…。立花美海です」香港顯赫醫學植髮中心 NU/HART - 保證有效、安全、永久、自然、美觀
美海は動かせない頭で困ったようにあいさつした。
「それにしても」
年を思わせないお鈴の顔が美海の目の前にきた。
美海の顔を瞬きもせずに見ている。
「な…なんですか?」
「見れば見るほど女の子みたいね」
美海は久しぶりに心臓が跳ねた。
沖田をチラリと見ると片眉をあげている。
どうしよう。
沖田さんの知り合いっぽいけどこの場合は黙っていた方が良いのだろうか。
再び沖田を見ると好きにしろというように両手を挙げていた。
「えっと…よく言われます」
うん。黙っておこう。
気を抜くのはよくない。
「でしょ?だってまつ毛は長いし顔はちっちゃいし、肌綺麗だし総ちゃんみたいにゴツくないもの」
「私もゴツくはないですよ」
沖田が苦笑いした。
「あら。そうかしら。まぁ昔はもやしみたいにほそっこかったけどね」
お鈴はフッと笑った。
よく喋る人だ。
「まぁそこ座って」
そう言われ、美海と沖田は座敷に座った。
「土方さんが頼むって言ってくるからどんな人かと思えば総ちゃんでびっくりしたわ」
「その様子だと私が来ることは全く知らされていなかったみたいですね」
「えぇ全く」
お鈴は大きく頷いた。
いつの間にか作っていたお茶を二人の目の前に出す。
こんな日にぴったりの温かいお茶だ。
「土方さんも年をとったわね。眉間の皺が益々濃くなって」
お鈴も座敷に座るとクスクスと笑った。
土方さんのことも知ってるのか?
「まぁ隊内でずっと吠えてますからね」
沖田もクスクスと笑った。
「あの、どうして知り合いなんですか?」
美海は自分でもおかしな質問の仕方をしたなと思ったのだが伝わったらしい。
「総ちゃん昔よく泊まりにきてくれてたのよ」
「私達がまだ近藤さんの道場にいるころに他流試合をしていたんですが、田舎から出てくると寝所がないでしょ?その時によく使ってたんですよ」
「なるほど…」
そういうことか。
「始め総ちゃんを見たときはびっくりしたわ!10歳だったもの!」
沖田さん入門したの9歳じゃなかったっけ?
美海の心を読み取ったのか沖田が口を開いた。
「私は一年後にはもう他流試合に連れていってもらえたんです」
相変わらずこの人は凄かったんだな。
美海は改めて確認させられた。
「でも本当にお鈴さん酷いんですよ。
私だけ毎朝早くに起こされて食事の準備を手伝わされたり、真冬に雑巾掛けさせられたり、とても客人への扱いとは思えませんでした」
だから早起きなのか。
よくグレなかったな。私ならそんな早朝に起こされたら怒り狂うよ。
「大丈夫。立花さんにはそんなことしないからね!」
お鈴はにっこりと笑った。
美海は頭を下げる。
後ろで何やら沖田が文句を言っていたが何事もないように無視される。
美海は今までの話を想像すると段々沖田が不憫に思えてきた。
「そうそう。あれからよくお光さんもいらっしゃったわよ」
「姉さんが!?」
沖田は食いつくように身を乗り出した。
姉さん?
「沖田さん。お姉さんなんていたんですか?」
美海は目を丸くしている。
そんなこと聞いたこともなかった。
「えぇ」
沖田は頷く。
知らなかった。
「なんか暇潰しなんですって」
「姉さんがすいません」
沖田は頭を下げた。
元気にしているだろうか。
ふと脳内には沖田の姉、光の姿が浮かんだ。
「いいのよ。今日は疲れているだろうし、また落ち着いたらいろいろ聞かせて。今日は二人とも休みなさい。上に部屋は用意してあるわ」
お鈴は今までとは違い、母のような目で二人を見つめた。
「お言葉に甘えて」
二人は頷くと軋む階段を上がった。
美海と沖田は『新撰組屯所』と立札が掛けられた門をくぐる。
「美海~総司~!巡回帰りか!?」
「原田さん!何してんですか!?」
原田と呼ばれた大柄なかなりの美男子は筋肉質な腹を空に向かい出している。
「何してるって、俺の勲章を太陽に晒してるんだぜ!」
勲章とは腹にある一筋の切腹痕だ。
原田 左之助。
新撰組十番隊隊長。香港顯赫醫學植髮中心 NU/HART - 保證有效、安全、永久、自然、美觀
大柄だがかなりの美男子だ。ただ少し、否かなりの馬鹿で過去に切腹の経験有り。槍を得意とする。
二番隊隊長の永倉とは特に仲がいい。
種田宝蔵院流だ。
「そ…そうなんですか…」
美海の顔がひきつる。
「お!美海!買い出し付き合ってくれねぇか?」
「永倉さん!嫌ですよ~」
美海は露骨に嫌そうな顔をする。
永倉 新八。
新撰組二番隊隊長。
新撰組で沖田と並ぶ剣の使い手。しっかりしているが、原田と仲が良いため二人で馬鹿をやっている。男らしい整った顔立ちだ。
神道無念流である。
永倉はチラリと沖田を見る。
「私は土方さんに報告にいかなきゃ駄目なんで!」
沖田はそう言うとピューッと廊下を走って行ってしまった。
「美海ぃ…前俺手伝ってやったよな?」
「それ大分前の一回きりじゃないですか!いつまでそのネタ引きずるんですか!」
「いつまでも」
ムッと美海はゲンコツをおみまいしようと思ったが、すんなりと避けられた。
「お願いだよ~左ノじゃ役にたたねぇんだよぉ…」
「なにぃ!?」
原田が目を見開く。
「本当のことだろ!左ノを連れて行くといらない荷物が増える!」
「確かに…。仕方ないですねぇ…」
美海は渋々と動きだした。
「よ!男の中の男!」
もう一度言うが、美海は少女である。その事実を知っているのは現在この中では、沖田、副長の土方、監察の山崎ぐらいだ。
「あー…。もう…」
美海は羽織を脱ぐと永倉と共に再び屯所を出た。
ドサッ
「重っ!女中さん人使い荒いなぁ…」
美海はグチグチと呟いている。
「まぁまぁ」
そう言う永倉は一見軽々持っているが、さりげなく美海より多く荷物を持っている。
そういう些細な優しさができる男だ。
「あ!美海ちゃんやん!」
カランカランと下駄を鳴らせかなり美人な女性が髪をなびかせ走ってくる。
「げっ…その声はもしかして山崎さん?」
「げってなんやねん!ぴんぽーん!」
「山崎さん。美海のことちゃん付けで呼ぶのやめろよ…」
永倉が呆れた顔で言う。
「だって美海ちゃんは美海ちゃんやもんな!」
山崎烝。
新撰組一の監察だ。
ちなみに今は美人な女だが、本当は男だ。
密偵のため女装しているのである。大阪出身だ。
美海のことは女だと知っている。
極度のポジティブだ。
「山崎さん、女装してるってことは今はお仕事中なんじゃないですか?」
美海は山崎から少し離れた所から喋りかける。
美海は山崎の事を尊敬する一方でどん引きしているのだ。
監察は隊士達の見張りも兼ねて天井裏にいるため、私生活が丸分かりだ。
美海は軽いストーカー被害にあっている。
まぁそのおかげもあって今までに沢山の隊士達を粛清してきた。
「なんでそんな離れてるん!?さては俺にときめいて直視できへん…
ゴンッ
「何をどう考えてもそうはなりません!」
いつもなら身のこなしが抜群な監察は難なく避けるのだが、今回山崎は美海のことを熱弁していたため、避けきれなかったのだ。
濃姫は静かな面持ちで、こくりと頷く。
「左様に致したいと思うておりまする。どうか、お受け入れ下さいませ」
「馬鹿なッ。…そもそも信長殿は、この話を知っているのですか!?」
「いいえ。このことは、私の一存にてり行いたいと思うておりまする」
「左様なことをすれば、胡蝶に危険が及ぶやも知れないのですよ!? それを分かって言っておるのか!?」
報春院はし立てるような語気で言うが、濃姫の決意は揺るがない。
「分かっておりまする。 ──例え此度の上洛で何事もなかったとしても、私は、
上様が世界へ発たれるのを機に、この案を実現させたいと思うておりまする」
「悪夢への念が消えても、必ず実行すると申すのか!?」
「はい」
「……危険じゃ、いくら何でも危険過ぎる」
報春院はえがちに言うと 香港顯赫醫學植髮中心 NU/HART - 保證有效、安全、永久、自然、美觀
「第一、そのような真似をしたら、そなたは、その後どうするのです!?」
濃姫に不安の眼差しを向けた。
「愛する我が子の為ならば、私の身など、どうなっても構いませぬ」
「お濃殿ッ」
「もう決めたことなのでございます」
濃姫の黒い瞳の奥で、めらりと青いが揺れた。
崩しようのない子の母として覚悟が、そこに宿っているようだった。
やおら濃姫は、着物の袖に手を入れると、中から一通の書状を取り出した。
それを、すっと姑の膝元へと差し置く。
「これに、を書き記してございます。…もしも、もしも私の身に何かあった時は、これを胡蝶に渡して下さいませ」
「──」
「いざという時に、この安土で胡蝶を守って下さるのは義母上様だけにございます。どうか胡蝶のこと、よろしくお願い致しまする」
万感の思いを込めて、濃姫は深々と姑に頭を下げた。
報春院は、目前の嫁の黒頭と、膝元に置かれた書状を交互に見やりながら、やがて浅い溜め息をいた。
「……お濃殿」
「はい」
「そなたのような愚か者を、わらわは見たことがない」
「私も、私のような愚か者は見たことがございませぬ」
「まことに、その大それた考えを改める気はないのか?」
「ございませぬ」
「強情よのう…」
微かに笑みを浮かべる報春院に
「私はの娘。食い下がるのは得意にございます故」
と、濃姫も微笑んで言った。
決して口に出して言うことはないが、報春院は濃姫の、こののない微笑みが好きだった。
もっと言えば、濃姫自身のことも愛しく思い始めていた。
美濃から輿入れて来たばかりの頃は、信長の強情な娘としか思っていなかったが、
あれから随分とを重ねたせいだろうか? 時折 反発するものの、内心ではこの嫁のことが可愛かった。
彼女がいなければ胡蝶は産まれなかったし、信長も、濃姫のなしでは、ここまで出世しなかっただろう。
信長が多くの側室を抱えながらも、女たちが醜い小競り合いをすることもなく、
常に奥御殿の平穏が保たれていたのも、正室である濃姫の力に他ならない。
そんな嫁の願いを、出来ることなら叶えてやりたいというのが、この時の報春院の本音であった。
「──お濃殿」
「──はい」
「胡蝶のく末への懸念はまだ分かるとしても、何の確証もない夢の話を呑みにするほど、わらわは愚か者ではない」
「……」
「じゃから、必ず、ここへ戻って参れ」
濃姫は膝元に落としかけていた視線を、素早く持ち上げた。
「茶会が終わったら、またすぐに安土へ戻り、またその健勝そうなお顔をみせておくれ」
「…義母上様…」
「それが、そなたの我がを受け入れる条件じゃ」
穏やかな口調、そして穏やかな微笑みで、報春院は濃姫に告げた。
初めて姑と、心がかよい合ったのを感じて、濃姫の胸は喜びに震えた。
じわりと込み上げてきたものを目のに溜めながら、濃姫は報春院に向かって静かに首肯する。
「信長殿暗殺の一件を漏らした事で、殿が謀反に及ぶのではないかとあちらも少なからず警戒しているご様子」
「近頃では守護邸の護りも固く、容易には攻め込めぬ状態にあると密偵らも申しておりまする」
三位と与一も、周囲を気にしつつ話の輪に加わった。
「無理やり攻め入り、万一闘いが長引くような事にでもなれば、事態を嗅ぎ付けた信長勢によって襲撃が阻まれる恐れもございます」
「さすれば信長殿は、我らが主君の命を狙うた事実を一世一代の好機と見なして、殿の首を…、この清洲の城を攻め取りに参りましょう」
「深田・松葉、両城を取り合うた折のような結果を再び残すのは、お見苦しい限りに存じます」香港顯赫醫學植髮中心 NU/HART - 保證有效、安全、永久、自然、美觀
三人は眉間に深い縦皺を寄せながら、頷くように頭をひと振りした。
かつて、信長の家臣であった鳴海城主・山口教継が謀反(赤塚の戦い)を起こしたのに乗じて、
大膳、与一、三位ら清洲勢が同輩の坂井甚介と共に織田家から人質を取って松葉、深田の両城を占領し、
信長、信光両勢と萱津(海津)の地で戦闘を繰り広げた、世に言う「萱津の戦い」を引き起こした過去がある。
結果として清洲勢は戦いに敗れ、中条家忠やあの柴田(権六)勝家などの働きもあり、坂井甚介は討死。
占領した二つの城も明け渡し、清洲勢は撤収を余儀なくされるという負け戦に終わった。
しかしこれ以後、信長との敵対関係、城の奪い合い等が本格化。
今、清洲勢が主家の義統を殺めれば、遅かれ早かれ信長と再び刀を交える事になるのは明白であった。
宗家を名乗る以上、うつけごときを相手に二度も続けて白旗を上げるような不様な真似は出来ない。
周囲の邪魔が入らぬ内に一気に事を成し遂げたいというのが、信友らの願いであった。
「……されども大膳、ほんにこのようなご機嫌取りで、義統めを仕止めることが出来るのか?」
焦りと不安が色濃く浮かぶ信友の面差しに、大膳は力強い眼光を注ぐ。
「何も我らは守護殿の機嫌を取る為に、致しとうもないあれやこれやを殿にさせている訳ではございませぬ。
隙を狙っているのです。守護邸を包囲するまでに至る絶好の機会が訪れるのを」
「じゃが隙を狙うどころか、むしろ警戒されているではないかッ」
「それも元より承知の上」
大膳は一旦相手の懸念を受け入れると
「なれど殿、人間というのは弱い生き物。幾度も繰り返される事柄に対し、知らず知らずの内に“慣れ”という感覚を生じさせまする。
今は堅固な程に強き警戒心も、日々高価な贈物や尊敬の念に溢れた書状を受け取る内に、それが真の如く思え、次第に薄らいで来るというもの」
「そうであろうか?」
信友が怪訝そうに目を細めると
「しかしながら、最も重要なのは、時を費やすことにございます」
大膳は相手を追い込むが如く、強い口調で言葉を重ねた。
清洲城の主・織田信友、守山城主・織田信光など、多くの親類縁者らが居住まいを正して控えていた。
対して左方には、故人の正室たる土田御前、織田家嫡男の正室である濃姫、そして信秀の側室たちが、
清らかな白綸子の小袖姿で、真珠や珊瑚などで作られた長い数珠を手にして、整然と座している。
そんな一同の背後には、香港顯赫醫學植髮中心 NU/HART - 保證有效、安全、永久、自然、美觀 林秀貞、柴田権六、平手政秀、内藤勝介など馴染みの重臣たちが控え、
更にその後ろにも、大勢の織田家臣たちがずらりと居並んで、故人の死を偲んでいた。
「──父上殿が亡くなられたというのに、お世継ぎ殿はまだ姿を見せられぬのか」
僧侶たちの読経が響く中、親族席に控えていた信友が呆れたように呟いた。
彼の言う通り、信勝の前に設けられている信長の席は、未だ空いたままである。
「信長殿は仮にもこの葬儀の喪主であろう? にも関わらず、葬儀の手配・段取りなどは全て傅役らに押し付けて、己は朝から晩まで外で遊び放題。
挙げ句に、式の当日にも遅刻とは……いやはや、信秀殿も今頃 草葉の陰で泣いておられましょうなぁ」
「申し訳ございませぬ。兄上の無礼、弟のわたしが代わってお詫びを申し上げまする」
信勝が慇懃に頭を下げると、信友はその武骨な顔に、柔和な笑みを浮かべた。
「いや、何、信長殿の奔放っぷりはいつものこと故、気になど致しておりませぬ。
それよりも儂は、信勝殿のようなご立派なご子息殿がおられるというのに、
何故あのようなうつけ者が織田の家督を継がねばならぬのかと、少々疑問に思いましてな」
「……」
「まぁ、脇腹の御子ならばともかく──」
と、信友は細い目で信広らを一瞥した後
「信勝殿ならば家督を継ぐ資格もあり、何より次期当主として相応しいご器量の持ち主じゃ。
そなたにならば、安心してこの織田家を任せられるのじゃがのう」
期待をかけるような眼差しで、ひたと信勝を見据えた。
「いえ、わたしなどはとても…」
「謙遜なさるな。四十二という御年で身罷られた信秀殿じゃが、敦盛の一節によれば『人間五十年』──。
もそっと長う生きていれば、きっと考えを改められ、信勝殿を跡継ぎにと遺言されていた事でしょう」
「信友様…」
「ほんに惜しい事じゃ」
信友は気鬱そうに呟くなり、その目を然り気無く、土田御前や、家臣団の席に控える林秀貞、柴田権六らへと順々に向けた。
彼らは意味有りげに微笑み、信友に対して軽く頷き返した。
それに気付いた濃姫が“何であろうか…”と、怪訝そうに眉をひそめた時
「──では、ご焼香を」
読経を捧げていた僧侶の一人が、一同に促した。
焼香ともなれば、まずは親族、中でも総領たる信長が初めに行うのが道理である。
だが、肝心の信長は未だその影すらも見せない。
「この状況を如何なされる平手殿。殿のご到着がまだと申すのに──」
狼狽え顔の政秀に、秀貞は声をひそめて伺う。
「殿は必ず参られまする。……今少し読経を延ばしていただけるよう、某から和尚にお頼み申しましょう」